Bakulog

獏の夢日記的な何か。

VR(Oculus Quest)とマリオネット(糸操り人形)についてのLT報告 + 補足いろいろ

タイトルそのままですが、登壇報告、および補足をつらつら書いてます。

もくじ

  1. 概要
  2. VRマリオネットの更なる利点
  3. マリオネットの価格について
  4. マリオネットの持ち手デザインについて
  5. 最後に: 関係ありそうなワード色々

1がLTの振り返りで、2以降はLTで喋ってない話題がメインです。特に2以降で技術ネタはほぼゼロなのでご注意を。

 

1. 概要

まず動画で雰囲気を味わってください。

 

LTでは上記の動画に関することを、実装もチョロッと紹介しながら話しました。技術ネタが少なかったので「マリオネットって何?」のレベルから紹介しています。

speakerdeck.com

イベント自体のURLはこちら。

standalone-vr.connpass.com

 

そして資料中で何度か言及している人形専門店「パペットハウス」のホームページがコチラです。

www.puppet-house.co.jp

 

2. VRマリオネットの更なる利点

LTで言い忘れましたが、VRマリオネットの利点として糸が絡まりません

 

会場にお越しいただいた方は物理マリオネットの糸がグチャグチャに絡まった惨状を目の当たりにしたと思います。

実際、私が帰宅してから糸を完全に戻すまで、作業時間ベースで約90分かかりました

 

会場での写真。

 

そして帰宅後。

VRマリオネットならこういう心配がなく、保管や持ち運びも簡単でいいですね。

※物理マリオネットもしっかり糸をまとめて静かに運べば大丈夫です。

 

3. マリオネットの価格について

LTでは、私が持ち込んだマリオネットを見せて「Oculus Questより高い」と言いました。

これは紛れもない事実ですが、実際はもう少し低価格で2.5万円くらいがひとつのベースラインです。それでもOculus Go相当ですから決して安くはないです。

 

私が会場に持ち込んだのは「Skeleton 2008」というマリオネットで、売価が6万円です。

www.puppet-house.co.jp

ちょっと高いと思うかもしれませんが、価格背景はこんな感じ。

  • 市場が小さい
  • 糸の長さ調節が難しく、現状では手作り要素が多い
  • 高いものについては芸術性も込みの値段

とくに上記のSkeleton 2008は路上パフォーマンスでも使える想定のマリオネットなので、私としては6万円くらいなら妥当かなと思います。

いっぽう、習い事などに使う想定のマリオネットとして「Peltie-W」のようなプレーンデザインのもあります。

www.puppet-house.co.jp

こちらで2.5万円です。完成度の高いマリオネットのベースラインと考えてよいと思います。

もっとお手頃なマリオネットもありますが、あまり低価格なものだと糸の張り方がイマイチで使いづらいケースがままあるので、買うならケチらない方がいいです。

なおデザインについてですが、Peltie-Wのようなプレーンな造形はどんな演目でもこなせるほか、マリオネット自体の見た目よりも動かし方で魅せられる点がマリオネット文化的に好まれます。VRコンテンツでも、狙ってシンプルめなデザインを採用するのは選択肢かもしれません。

 

4. マリオネットの持ち手デザインについて

LTでは知見として「Oculus Questのコントローラはマリオネット(の持ち手)と好相性」という事を紹介しました。

これも事実ではありますが、実はマリオネットはモノ次第で持ち手の形や使いやすさが結構違います

…ある意味VRのコントローラに似てますね。

ですから、正確には「私が持っていたマリオネットのSkeleton 2008が幸運にもOculus Questでのマリオネットづくりに相性の良いリファレンスになった」と言うべきでした。

以下はパペットハウスの商品紹介ページにも掲載されている、Skeleton 2008の参考動画です。操作している方のお手元に注目下さい。

この動画で伝わるか分かりませんが、持ち手部分は使い勝手に配慮して作りこまれています。

扱いやすさを追求した結果がOculus Questコントローラで再現しやすい構造なのは、人間工学的な必然性もありそうで興味深いです。

 

ちなみに。これ以外でよく見るマリオネットの持ち手デザインとしては、棒を十字状に組んだものをイメージする方もいるかもしれません。

www.irasutoya.com

うろ覚えなのですが、数年前にパペットハウスで「この形のは操作が難しい」という主旨の事を教わったように記憶してます。

そのためリファレンスとしてはオススメしませんが、どこかで入手して試す分にはアリだと思います。

 

5. 最後に: 関係ありそうなワード色々

周辺的な話題も含め、マリオネットに関係ある単語集を独断と偏見でガーッと並べて終わりにします。

本節を書いている背景として、LT後に以下のような主旨の感想を頂いてます。

マリオネットとVRの組み合わせは興味あったが、何でググればいいか分からないので助かった。

ということで、調査の取っ掛かりなり、インスピレーションなり、一般教養なりで役立てば幸いです。

 

基本

  • 傀儡師/人形師/人形遣い: マリオネットを使う人。英語ではpuppet masterと書くんですが、Unityの同名アセットがあるせいでややこしい。
  • パペットハウス: 飯田橋にある人形専門店。いろいろと最高なスポットですが、お店は広くないのでご訪問は1~2人くらいがお勧め。

 

ハードウェア関連

  • マリオネット: 糸で操るタイプの人形。日本語表記は「糸操り人形」ですが、中二感を出すときは「傀儡」とかでも。
  • パペット: いわゆる腹話術用の人形。なお、VR関係のワードで「腹話術効果」というのも知っているとお得。
  • 人形浄瑠璃: 3人がかりでパペットライクに動かす人形と、浄瑠璃がセットになった伝統芸能。複数人で制御するVTuber人形浄瑠璃と呼ばれがち。
  • オートマトン/オートマータ: 日本語で「自動人形」に相当する言葉で、後述の「からくりサーカス」とか「からくり士」といった広義のマリオネットまで漁りたいとき思い出すと有効なワード。オートマータ(Automata)はオートマトン(Automaton)の複数形。
  • QUMARION: 「元祖xR向けパペット」とも言えそうなデジタルモーキャプ人形…だったんですが、SDKが入手できなくなりました。詳細は私が以前に書いたブログ記事からどうぞ。

 

人名、グループ名、コンテンツ名など

  • パペットマペット: パペットのうち、完全に指で全部制御しているタイプを使っています。
  • いっこく堂: パペットですが、口パク機構が仕込んであるタイプを使っています。
  • サンダーバード(テレビ番組): 私より上の世代がターゲットのコンテンツですが、人形が出てくるコンテンツとしては超有名ですね。
  • ハッチポッチステーション: パペットが登場する昔のNHK番組。めっちゃ動きます。
  • ゆうがたクインテット: ハッチポッチステーションと同じタイプのパペットが出るNHKの音楽番組。フルートやバイオリン演奏中のパペットの手指の動きがすごい。
  • Royal De Luxe: 数階建ての家ほどもある大きなマリオネットのような人形を数十人が操るパフォーマンス集団。ちょっとスケールダウンしますが、「長崎くんち」でググると日本の芸能で近そうな事例が出ます。
  • からくりサーカス: 本記事のコンテキストでは「大きくて戦うマリオネットが出てくる少年マンガ」と分かってれば十分です。作中での動きは実物マリオネットではまず再現できませんが、VRとハンドトラッキングで頑張ればワンチャンある気もするので、興味ある方は挑戦して下さい。ある意味VRマリオネットの究極のゴール。
  • からくり士: Final Fantasy XIのジョブの1つ。「オートマトン」というロボットとマリオネットの中間みたいなキャラを操って戦います。武器名が「ストリンガー(糸吊り器)」なのを踏まえると広義のマリオネットにあたりますが、作中ではロボットみたいな演出もちらほら。丸めの胴体や極端に細い手足のビジュアルがデザイン的に参考になるかもしれません。
  • 「バッハの旋律を夜に聴いたせいです。」: サカナクションの曲です。曲自体はとくにマリオネットと関係ないんですが、YouTubeの公式PVで等身大人形が出てくるときのダンスが面白いので紹介しました。これに限らず、操り人形ライクなオブジェクトは楽曲PVと相性がよいので意外によく見かけます(なんとなく意味深な演出にしやすいので)。

 

…なんかラストに向かうほど関係なくなってますね。まあ「よく見たらこれも関係ある?」みたいな発想の拡げ方も含めて役立てばと思います。

今回は以上です。